立春を過ぎても、まだまだ寒い日が多く、春の到来が待ち遠しいこの頃ですね。ブンエンジニアです。ニオイのコラムも7回目に入り、脱臭に対する関心も高まり、G2フレッシュについての問い合わせも増えてきました。今回も、弊社のさまざまなニオイの現場での体験をもとに、解決のためのヒントやノウハウを紹介していきたいと思います。ニオイ対策でお困りの皆さんのお役に立てればうれしいですね。
第7回は、交通機関でのニオイ対策について。JR東日本で取り組んでいる「喫煙車両での脱臭」のお話をしましょう。車両基地でのテストを済ませ、成田エキスプレスでの本線試験もいよいよ始まろうとしています。
喫煙車両のニオイの原因はタバコ。昨今の禁煙への流れに、喫煙者の肩身はますます狭くなっていますが、喫煙者が快適にタバコを吸える環境づくりというのも、JRにとって大事な顧客サービスです。また、喫煙車両からデッキや禁煙車両へと流れるタバコのニオイに対する苦情も多く、「喫煙車両のニオイ対策」は避けて通れない課題でした。
もちろん、JR東日本がこれまで何もニオイ対策をしてこなかったわけではありません。喫煙車両の天井部分には、1両につき3台の空気清浄機が取り付けられていましたが、思ったような脱臭効果は得られず、ニオイはまだまだ残っていました。そこで、G2フレッシュに期待がかけられたというわけです。
昨年の8月から年末にかけて、車両基地内で実際の車両を使ったテストを9回行ないました。テストは、1車両に3台のG2フレッシュを設置し10人の検査官が15分間隔で臭気に対する官能試験を行なうというもので、次のような手順で行われます。
【1】車両内で一斉にタバコを10本吸い、ニオイ(原臭)をつくる。
【2】いったん外に出て、数分後に車両に戻り、ニオイを感じとる。
※当然、強く臭いますので、このニオイが基準となります
【3】15分間隔で出入りを繰り返しながら、臭気強度の変化をテスト。
タバコで原臭づくり
臭気強度の変化をテスト
テストを開始した当初も「45分後にはニオイが感じられないし、速効性もある。」という評価をいただきました。しかしながら、空気清浄機の下でだけどうしてもニオイが残ります。テスト中も空気清浄機は運転していましたから、「これは空気清浄機に残っているニオイでは?」と思った弊社は、空気清浄機の運転を停め、G2フレッシュだけで再度テストを行ってみました。
予想的中。空気清浄機を停めた試験では「最初の15分でニオイが全く感じられなくなる」という評価を得ました。つまりこの試験結果は、弊社がこれまで言い続けて来た「空気清浄機では空気中のミストは落ちるがニオイは落ちない」ことを実証してくれています。さらに言えば、空気清浄機がニオイの発生源となる可能性もあるわけです。
JR東日本での取り組みは、車両基地でのテストを終え、いよいよ実際の営業車両を使った本線テストを始めようという段階です。この結果で採用が決まると思います。JR東日本だけでなくJR各社、さらに各地の私鉄からも問合せをいただいていますので、いずれは車内脱臭の切り札として快適な空間づくりのお役にたてることを期待しています。
さて、今回の「喫煙車両での脱臭」では、いくつかのポイントがありました。
まずは、車両への入口である「デッキのニオイ」を落とすことです。前にもお話しましたが、ニオイの無いところからニオイがあるところに入った瞬間に人は最もニオイを感じます。中に入ってしまうと慣れてしまい、ニオイに鈍感になりますが、入って来た時のクサいイメージが残ってしまうのです。ですから、まずはデッキのニオイを軽減してあげることで喫煙車両内のニオイに対するマイナスのイメージを持たせないことが脱臭効果をあげることにつながるのです。
今回のテストでは、従来から取り付けてあった空気清浄機とほぼ同じ大きさのG2フレッシュを新たに設計し、条件を揃えました。(弊社では設置場所や臭気環境に合わせてオリジナル設計も行っています。)
空気清浄機は空気中の不要な物質を取り除くことが主体です。ところが、ニオイに関していうと、ニオイの元を97%除去してはじめてニオイは半分になったと感じるのだそうです。(これをウェーバー・フェヒナーの法則といいます)
G2フレッシュは「脱臭機」。しかも、ニオイにすばやく効果をあらわす「植物性剤による中和脱臭」とニオイの元にじっくり働く「酸化チタンの光触媒による抗菌分解」を組み合わせているので高い相乗効果を発揮するのです。
弊社では、『現場対応』が脱臭へのアプローチで何よりも大切だと考えています。ニオイのある環境や元をきちんと把握した上で、「G2フレッシュをどう配置すればもっとも効果的か」を考えた提案を常に行なっています。今回の空気清浄機とテスト結果の関係についてもまさにこれまで経験してきた現場が教えてくれたこと。数々の現場で蓄積した脱臭ノウハウこそが、弊社たちの強みなのです。
列車に限らず、密室空間となる交通機関ではニオイの問題を抱えています。もっとも身近なクルマも例外ではありませんね。そこで弊社ではクルマの脱臭について新しいアプローチを始めました。詳しいことはいずれこのコラムでもご紹介できると思いますが、すでにカーディーラー、カー用品店、ガソリンスタンド、タクシー及びバス会社などでテストを開始していますので、興味がありましたらご相談ください。お伺いいたします。
脱臭のパイオニアとして、ビルや工場、公共施設といった建物の中だけにとどまらず、交通機関などニオイで困っているところならどこにでも挑んでいきます。
次回も、弊社が出会ったさまざまな業種や空間の『ニオイの現場』を見ていきながら、脱臭のポイントについてお話ししていきましょう。
JR東日本の車両基地
G2フレッシュの搬入です
空気清浄機と交互に
車両内に取付けました
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